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知らないと恥ずかしい美術用語のまとめ

美術用語集


アールヌーボー 芸術の持つ意味を改めて考え直そうという運動で,新しい(アール:英語ではアート)芸術(ヌーボー:英語ではニュー)という意味です。主に植物などの有機的な曲線を基本的なモチーフとしてつくられ,華麗で繊細な作品がこの時代に数多く製作されました。



アールデコ 装飾芸術(アール・デコラティフ)のことを指します。幾何学図形(同心円やジグザク模様など)を用いた直線的な装飾が特徴で
す。洗練された美しさと機能美が当時の人気となりました。


アイデアスケッチ 絵画・彫刻・デザインなどの製作に先立ち,自分が心にイメージしたことや,様々なモチーフを組み合わせて,構想をおお
ざっぱに描いたものです。また,その過程を指します。
アクアチント エッチング(凹版)の技法の一つです。松やにの粉末を木綿に包み,版画にふりかけ,版を暖めると粉末は溶けて版に付着しま
す。この粉は酸に強いため,腐食液に漬けるとついていないところが腐食するわけです。腐食させたくない部分は黒ニスを塗っておきます。


アクションペインティング 絵の具を垂らしたり,絵の具のついた刷毛を振り回して構成画面を作る技法です。ペンデュラムやドリッピングと
いう技法を用いることもあります。線の強弱や滴など,自由奔放にはね回ったようなリズム感が特徴です。
アクセント 構成美の要素の一つ。(強調)形や色で表現する際に,周りにあるものとは違う異質な形や色を使うと,その効果を表現できます



アクロポリス ギリシャのアテネにあるパルテノン神殿が建っている丘のことです。現在の遺跡は紀元前5世紀にペルシャ戦争で破壊された跡
に作り直されたものです。ですからパルテノン神殿の下には,それより以前の遺跡が埋まっていると言われています。
油絵の具 15世紀にフランドル地方のファンエイク兄弟が完成させたと言われる,ルネサンス絵画の中心的技法です。顔料を亜麻仁油(あま
にゆ)などで溶いた絵の具。当時盛んに行われていたテンペラ画に比べ,感想は遅いが透明感がある色彩を表現できるようになりました。




アトリエ 絵を描くための空間。天井が高く、北側だけに窓があり、とても明るく、可能な限り広いことが望ましい。


アラビアゴム 天然樹脂系の接着剤の一種です。リトグラフ(石版画)における絵の具の反発材料に使われます。ポスターカラーなどの水彩絵
の具にも含まれ,絵の具が紙に定着することを助けています。

あらぼり(粗彫り) 彫刻を制作する過程で,石や木などの素材を大まかに掘っていく作業のことをいいます。この段階では細かい部分にこだ
わらず,全体像をよく見て,塊(かたまり)としてとらえて表現することが大切です。
あらづけ(粗付け) 彫塑作品を制作する過程のことをいいます。可塑性のある粘土や石膏などを大まかにつけていく作業です。この段階では
,全体の雰囲気を頭に描きながら細部は塊(かたまり)としてとらえて,面で表現していくとよいでしょう。

アラベスク アラビアの回教(ヒンズー教)風の模様を指します。複雑な抽象形や植物(葉っぱや茎の雰囲気)を幾何形や曲線にしたものが多
いのが特徴です。日本と違い,緑あふれる植物に囲まれた生活ではないために,身の回りを飾り立てるアイデアを工夫したからと考えられる
こともあるそうです。日本と違い,緑あふれる植物に囲まれた生活ではないために,身の回りを飾り立てるアイデアを工夫したからと考えら
れることもあるそうです。日本と違い,緑あふれる植物に囲まれた生活ではないために,身の回りを飾り立てるアイデアを工夫したからと考
えられることもあるそうです。

アルカイック期 古代ギリシャを3つの時代に分けたとき,初期の時代にあたるのがこのアルカイック期です。この後,クラシック期,ヘレニ
ズム期と続きます。この時代はまだ彫刻表現が未熟で表情はぎこちなく,直立した姿にほんの少し足を曲げたり腕を曲げる姿がたくさん製作
されました。そのぎこちない筋肉の動きの中で,感情を表現しようとした笑顔(口元だけが笑っている状態)をアルカイックスマイルと呼び
ます。

これは飛鳥時代の仏像にもみられますが,法隆寺の柱にみられるエンタシスという表現方法と同様に,これらはシルクロードを通じて中国か
ら日本へ渡ってきたと言われています。
合わせ絵


> い <

イーゼル(画架) 野外用と室内用があり,たいていは3本足が出ています。前足2本にカルトンや,キャンバスを乗せて絵を制作するときに
使われます。後ろ足はカルトンやキャンバスの傾き角度を調節するのに使われます。
イオニア様式 古代ギリシャの建築様式の一つです。柱の頭部の装飾にその時代の特徴が見られます。優雅で洗練された様式といわれ,クラシ
ック期に建てられたパルテノン神殿の柱飾りに用いられています。
板目木版 木材の板目を利用して作る版画のことです。西洋の版画は木口木版であるのに対して,日本の版画はこの板目木版で作られています
。西洋と日本の版画を区別するときに使われる用語です。
伊万里焼 佐賀県の伊万里地方(有田市)でつくられる白磁器です。有田焼と言われた方が解りやすいかもしれません。最初は染め付けでした
が,酒井田柿右衛門によって赤絵つけが発明され,色絵と呼ばれるようになりました。
イメージ 過去に記憶された情報をもとに,頭の中で想像を生かして形や情景を思い浮かべる活動を指します。

色の三要素 色には白,黒,灰の無彩色と呼ばれる色と,それ以外の有彩色と呼ばれる色があります。有彩色には明度(あかるさ),色相(色
み),彩度(あざやかさ)がある。この3つを3要素と呼びます。(3属性とも言う)


陰影 立体物に光が当たると,明るさに変化ができる。その物体の足下にも影ができる。前者のような物体内にできる陰(シェード)と,後者
のような物体の周辺にできる影(シャドー)は区別して表現される。この両方を合わせた用語。



陰刻 絵の部分を彫り込むこと。沈め彫りともいう。印では文字の部分を彫ることを指す。対して陽刻もある。

板づくり 陶芸の制作方法の一つです。土を板状に用意し,それを組み立てるようにしてつくります。それぞれを接着する際にはどべが使われ
,粘土板をつくる際には,たたら板と呼ばれる厚さの均等な板を積み重ねて制作します。

一木彫(いちぼくちょう) 天平時代における仏像彫刻の制作方法のひとつ。頭から足までが1本の木から彫られる。手のような部分が飛び出
し,別の木を継ぎ足していても,身体の中心部分(背骨を中心に)が1本の木で制作されていればこう呼ばれる。

岩絵の具 日本画に使う顔料の一種です。鉱物を粉末にしたもので群青,緑青,黄土などをにかわ汁と混合して使用します。
印象派(印象主義) これまでは神話や伝説の世界,貴族たちの肖像,歴史的な名場面など買い手の希望に添った絵がほとんどでした。そんな
中,人々の生活や目の前の現実をありのままに描こうとする人たちが現れました。ものの形や固有色にとらわれずに,明るい,新鮮な色で画
面を表現しようとしました。
<代表的な作家>
モネ 時間や季節の移り変わりによる光や色の調子をとらえました。自邸の睡蓮を何度も描いています。
ルノワール 陶器職人でしたが,パリで絵を学びます。独自の柔らかく明るい色調が特徴です。
マネ 印象派の先駆者的存在です。確かな技術と先進的な考えで多くの作品を残しました。


> う <

浮絵(うきえ) 江戸時代の奥村政信が西洋から伝わった遠近法を用いて,室内や風景を描いた作品をこう呼んだ。これも浮世絵のひとつ。
浮世絵(うきよえ) 江戸時代中期に起こった木版画による風俗画で,庶民芸術である。遊里や演劇の世界が主題の中心で,大量生産のできる
版画は流行も生み出す。はじめは黒一色(墨摺絵)であったが,後に丹絵,紅絵,紅摺絵,錦絵となる。多版多色刷りの浮世絵は版画の黄金
時代を築く。この浮世絵は,絵師(えし),摺師(すりし),彫師(ほりし)の3つの職人が力を合わせて作り上げたもので,たとえは葛飾
北斎などの名前は絵師のものである。


上絵つけ 磁土を用いて形を形成し,一度高温で焼きしめる。その表面は白く艶のある質感を持つ。そこに顔料などを使って絵を描き,今度は
中温で焼きつける。有田焼,九谷焼,瀬戸焼は上絵つけをした作品である。

暈染描法(うんぜんびょうほう) 目や鼻や衣などに黒い輪郭線(ふちどりの線)が入っている状態の描き方。法隆寺金堂壁画に見られる,立
体感を表すための技法といわれる。同様の描き方は古代のインドにも存在する。


> え <

エキステンダー シルクスクリーンに使われるインクの増量剤,軟解剤とも呼ばれます。絵の具の色調に関係なく,その量を増すことができま
す。乳白状のもので,絵の具1/4に対してこれを3/4ほど混ぜると粘りもなく楽に印刷できます。
エコール・ド・パリ 第一次世界大戦後にパリで活躍した画家の集団。パリ派とも呼ばれる。
絵詞 絵巻物で挿し絵とともに物語などが書かれてあるもの。
エスキース フランス語で,作品の制作に入る前にスケッチブックや画用紙などに描く下絵のことです。習作とも呼ばれます。作品の主題や構
図の構想を考えるときに数多く制作し,イメージを膨らませます。また,彩色計画を練ったりします。
エチュード(習作) 練習用にいろいろと試作をしてみたり,制作のための下準備として描くものです。
絵つけ 焼き物をつくるとき,素焼きをした後に行う作業のこと。釉薬の下の絵を描くことを下絵つけという。磁器の場合,高温で焼き上げて
形を形成し,その上から絵つけをするので上絵つけという。このときは最初より低い温度で焼く。
エッチング 凹版画の一つの技法。
銅版の表面にニスなどで皮膜をつくっておき,針で皮膜をかき取るようにして描く。その後硝酸液,または塩化第二鉄を利用して腐食を施し
,凹版を制作する。この穴にインクを詰め,エッチングプレス機によって刷りとる。

絵具
顔料を接着成分と練り合わせたもの
例)
油絵の具 =
水彩絵の具 =
テンペラ絵の具 =
アクリル絵の具 = 顔料
日本画の絵の具 =
など

絵馬 江戸時代に始まったといわれています。神社や寺院に絵を描いて奉納します。本来は神馬を描いたようですが,次第に馬に限らず一般の
ものも描かれるようになりました。よく,新年の初詣に出かけるとよく絵馬がありますが,それはこれに由来して願いを込めるようになった
ようです。
絵巻物 藤原氏が活躍した平安時代から描かれ始める。物語を段落ごとに絵で表したもの。挿し絵のようにして描かれた絵詞と,絵だけで描か
れた絵巻とがある。源氏物語絵巻などが有名で鎌倉時代まで盛んに制作される。

塩化第二鉄 エッチングで使用する銅版や亜鉛版を腐食させるために使用する薬品。取り扱いに注意を要する。
遠近法 15世紀,ルネサンスの時代に発明された。透視図法の原理を利用し,対象物に奥行きや距離感を表す技法。

エンタシス 建物の柱として使われている円柱の部分で,中間部分が膨らみを持つ形のことです。このギリシャのパルテノン神殿や法隆寺の回
廊にみられる様式は,シルクロードを伝ってはるばる日本までやってきました。


> お <


凹版 版に凹の部分をつくり,そこにインクを詰めてエッチングプレス機で刷りとる版画の呼び名です。この表現技法には,エッチングやドラ
イポイントなどがあります。ドライポイントは薬品も使わず手軽にできるために,授業などで製作したことがあるかも知れませんね。
オートマチックパターン 自動的,無意識的の意味です。意図的に表現したものではなく,偶然的な手法で生まれる造形美を効果として用いる
ことができます。シュールレアリズムの表現によく用いられました。「モダンテクニック」の項を参照してください。




> か <
か き
カービング 石や木などの塊を彫って制作していく彫刻のことを指します。対して粘土など可塑性のある素材を用いて制作する場合は,モデリ
ングと表現します。


柿右衛門 酒井田柿右衛門のこと。有田焼を参照のこと。


加算混合 色の混合で,光の混合のことを指します。光の3原色は赤,緑,青ですが,赤と緑を混ぜると黄色に,赤と青は紫に,緑と青は青緑
になります。このときに元の色よりも明度が高くなるのが特徴です。3色すべてを混ぜれば白色光となります。
画箋紙(がせんし) 水墨画を描くときに使われる白い和紙。吸水性が強い。



画品 描かれ方の全要素が、美しく響き合った時に発生する、物質体そのものとしての絵の美しさ


可塑性 粘土のように<自在に形を変化させる>ことのできる素材が持つ特性のことを指します。木や石では,そうはできませんね。
花鳥画 草花や鳥,獣や虫などを描いたものです。人物画や風景画に対して区別するためにこう呼ばれています。
カッティング法 孔版の技法のひとつです。ニス原紙(新聞にニスを塗って乾燥させたものでよい)を用意しておき,下絵に合わせて切り抜き
ます。それをスクリーンにアイロンなどで圧着させ,スキージで絵の具を刷り込んで印刷します。

紙版画 紙を材料に使った凸版。紙を切り抜いて台紙に張りつけたり,厚紙の一部分を切り取ってはがしていくやり方など様々な方法がある。
制作が容易なので小学校で主に扱われている。
烏口(からすぐち) インクや絵の具を使って幅の整った,きれいな線を引くときに用いる道具です。先端が鳥のくちばしのような形をしてい
るのでこう呼ばれています。



カリアティード
ギリシャ時代に,建築物の柱の部分を女性像として刻んだものです。女人柱と呼ばれています。

カルトン(画板) デッサンをするときに木炭紙や画用紙などの紙を支える板として使われます。また,作品を持ち歩くための紙ばさみとして
も使われます。本来の意味は厚紙・段ボール紙のことだそうです。
感光法 孔版の技法のひとつ。スクリーンに絹を張り,そこに感光用の薬品を塗る。それに原画を描いたネガを合わせて焼きつける。絵の部分
の感光剤はとれて孔があくため,絹の目が表れる。スキージでインクを刷り込み印刷する。シルクスクリーンと呼ばれる。

乾性油 酸化して固まる性質をもつ、油絵の具の主成分




乾漆像 奈良時代に行われた仏像の造像法の一つです。乾漆は脱乾漆と木心乾漆の2種類に分けられます。脱乾漆は粘土で像の大まかな形を作
り,その上に麻布を漆で張り付け,乾いてから内部の土を取り除きます。その後に表面の仕上げをします。木心乾漆は木で大まかな形を作っ
ておき,その上に漆で練った木くずを盛り上げて像の形を作ります。
顔料 岩石や鉱物などからつくられる塗料のことです。砕いて粉末にし,他の材料と混ぜ合わせて使います。西洋画なら亜麻仁油,日本画なら
膠,松脂など。(染料の項)
寒冷紗 エッチング(凹版画)を制作する際に使用する,目の荒い綿の布。インクをきれいに拭き取るためのもの。


> き <

木節粘土(きぶしねんど) 植物が腐り,土に混ざり合ってできた粘土です。耐火温度が高いのが特徴です。他の粘土に耐火性や粘りを加える
ために混ぜて使用されます。

キャンヴァス 麻布のこと。油分を含んだ絵の具(油絵の具、テンペラ絵の具、)で描く場合、絵の具の油分を吸収させない様に膠などで遮断
層を作って使用する。膠層の上には、油性、半油性(アブソルバン)、吸収性(白亜地)などの白色地塗りを施してから描くことが多い。




キュビスム 20世紀はじめにピカソやブラックによって始められた芸術。立体派とも言う。絵画は目に見える世界をそっくり再現すべきだと
いう伝統的な考えを捨て,いろいろな角度からみることで,よりそのものの本質に迫ろうとした。対象物の形を一度ばらばらにして,再構成
する手法が特徴。

キュビスム(図説)



切金(きりがね) 仏画や仏像の色彩で金銀の博を細い線や形に切って張り付け模様を作ることです。




> く <

グアッシュ 18世紀に流行した,アラビアゴムを溶剤に用いた不透明な水彩絵の具のことです。光沢はありませんが,鮮やかです。
九谷焼 石川県に産出する土を使って作られる伝統的な磁器です。加賀前田藩の保護を受けて発展しました。
クラシック期 ギリシャにおける様式のひとつの呼び名です。アルカイック期の次に迎えたギリシャ文明の最盛期で,この時代にフェイディア
スが指揮をして建てられたパルテノン神殿があります。
グラデーション(漸進) 構成美の要素のひとつ。色(色相,明度,彩度)や形などが,規則的にだんだん変わっていく様を表現する技法。

クラフト 工芸美術一般を指す言葉です。陶芸,金工,染色など,伝統的なものが数多くあります。
クロッキー 短時間で素早く全体の動きをとらえて,線で表現する方法です。デッサンのように細かな部分にとらわれず,のびのびと描くこと
が大切な要素となります。







> け <

減算混合 加算混合の反対で,混合するほど明度が低く,暗い感じになります。色料(絵の具や染料,顔料など)の混合はこれです。

原始芸術 ラスコーの壁画やアルタミラの壁画など,素朴な描かれ方ですが,その土地の生活や宗教と密着した芸術ともいえるでしょう。今か
らは想像もつかないような技術でつくられたものもあり,謎が謎を呼ぶことで見る人のロマンをかき立てます。


原色 基本になる3つの色のことです。
●赤,●黄,●青

●赤,●緑,●青



見当 版画の制作において正しい位置に紙を置くために付けられる目印の呼び名です。




> こ <


後期印象派 自分の目でとらえたイメージをありのままに表現した印象主義の考え方を更にすすめ,作品の中に自分なりの考えや意図を込める
ようになります。日常の生活やものの中に精神的な意味を含ませたり,画面構成を工夫して表そうとします。代表的な作家にセザンヌ,ゴッ
ホやゴーギャンがいます。

工芸品 工芸品とはどのようなものか,との問いに対して必ず登場する用語が「用と美」という言葉です。この,用いやすさ(使いやすさ)と
美しさが両方とも含まれていなければ工芸品とはいえません。


構成主義 ロシアではじまった色と形だけの画面構成(抽象芸術)のことです。第一次世界大戦以降,キュビスムなどに影響を受けてタリトン
らがはじめました。鉄板や木片を使い,抽象的な構成で量感や動き,空間を表そうとしました。この製作法は絵画や彫刻だけでなく,工業デ
ザインにも応用されていくことになりました。
構成美の要素 だれもが美しいと感じるものには,そこに共通した美しさの要素(原理)があります。それを形式としてまとめたものをこう呼
びます。
高台 焼き物(茶碗や湯飲みなど)に見られる,底の部分のことを指します。これがないと安定して置くことができません。
孔版 版に穴があいており,そこからインクが出ることで紙に同じ模様や文字を刷る版画の技法のことです。シルクスクリーンのような小さな
点状の穴の集合体で刷る方法と,型どりをして大きくあいた穴に刷るステンシルのなかまに分けることができます。
ゴシック 中世のキリスト教がもっとも盛んな時期(13世紀から15世紀)にかけてつくられた建築様式のことです。天に届くかのようにそ
びえ立った教会の塔が特徴的です。また,ステンドグラスを利用し,教会内に華麗で荘厳な雰囲気をつくりだしています。また,後期には機
械仕掛けの時計がはめ込まれた教会も出現しました。




固有色 対象物から光の当たり方による見え方の違いを差し引いた対象物自体が持つ色




コラージュ モダンテクニックのひとつ。色紙や印刷された紙,布,ひもなど,実際のものを画面に張りつけて表現する技法を指します。

コリント式 ギリシャ後期の建築様式のひとつです。柱の上部にアカンサスの葉をデザインした,繊細で優雅な装飾が特徴です。
コロセウム(円形闘技場) ローマの優れた土木技術によって作られた代表的建築物の一つです。約5万人の観客を収容できました。これは娯
楽の場であるとともに,皇帝の権力の象徴でもありました。

コンテ パステルや色鉛筆に比べ,やや堅い画材です。鉛筆状にしたコンテもあります。これを用いて描く際には色のついた紙を選ぶことで,
中間色の表現に紙の色を利用できます。
コントラスト 構成美の要素のひとつ。形や色の相反する性質のものを対立させて組み合わせる技法を指します。明快で力強い構成となる。「
対称」とも言います。

細密描写 細い線を用いて対象物の細部に至るまで表現した絵画のことを指します。鉛筆やペン,細筆を用いますが,エッチングやドライポイ
ントのような版画では針やニードルを用いて描きます。淡い色を付けて仕上げる淡彩画はまずこの技法で描いてから,透明描法で彩色を行い
ます。
錯視 本来の事実とは異なり,ごまかしによってそうであると錯覚させる視覚の不思議を指します。長さが違ったり,平行であるはずなのに傾
いて見えたりする手法を利用して描かれた図です。





さっ筆 パステルやコンテで描くときに使われます。微妙なグラデーションや,淡い感じやぼかしの効果を表すときにこれを用います。材質は
紙でできており,こすることで表現します。




三原色 色の三原色と光の三原色があります。※原色の項を参照のこと。


> し <

信楽焼 滋賀県の信楽地方(町)で算出する粘土を使ってつくられる陶器のことです。日本六古窯のひとつで,平安時代から今日に至るまで焼
かれ続けています。

じかづけ まず作品の中心となる心棒をつくり,その周囲に直接石膏やセメントなどをつけて製作していく彫刻の手法です。




磁器 石の粉(石英;ガラス質)を練って焼成する。陶器よりも高い温度で焼きます。
色相・色相環 色の3要素の一つの呼び名です。色の3原色によって作り出されるだいだいやむらさきといった,色それぞれがもっている雰囲
気のことです。手相や人相といえばさまざまな形態があるように,色にもさまざまな特徴があることを指しています。






シルクスクリーン 孔版の技法のひとつ。スクリーンに絹を張り,そこに感光用の薬品を塗る。それに原画を描いたネガを合わせて焼きつける
。絵の部分の感光剤はとれて孔があくため,絹の目が表れる。スキージでインクを刷り込み印刷する。

写実主義 19世紀の中期に現れた絵画の手法。ありのままに描くことを目的として,誇張も理想化もせずに現実を忠実に表現しようとした。
クールベが有名。
シャモット 粘土を素焼きし,それを細かく砕いたものです。理科の実験で使われる沸騰石というのは,こうやって作られます。
主調色 画面全体の中で広い範囲を占める色はその絵の中心的な色彩となる。
シュパンヌンク 形が持っている勢いのこと。三角形の鋭角部分はその頂点の方向に強く引っ張られるように感じる。




シュールレアリズム 日本語では超現実主義と表現されます。人間の心の中に潜む無意識や夢,欲望などに注目し,日常とかけ離れた不合理で
幻想的な世界の表現を追求した芸術活動のことです。


純色 色の3原色によってつくられる色相。色相環はこれによってつくられる。
書院造 室町時代に発達した建築様式。客間に床の間をつけたり,襖や障子でしきりを入れたりした。もともとは禅宗において書を読むための
場所を建築に取り入れたといわれる。
焼成 粘土でつくられた作品を乾燥させ,焼いて硬化させること。これによって耐久性が増し,器などとして利用できる。窯を利用し,素焼き
の場合は800度前後,釉薬をかけた陶器であれば1250度前後,磁器の場合は1300度前後まで高められる。


新印象派(新印象主義) 感覚的な色彩表現をさらに発展させて,色彩の原理を科学的に追求します。そこで点描という技法を生み出します。
色彩は混ぜると済度が低下してしまいます。それを防ぐために小さな点状に色彩を並べ,鑑賞者の視覚上で混色させようと試みます。この場
合は加算混合になり,混色しても鮮やかさが落ちません。代表的な作家にスーラ,シニャックがいます。
心象表現 表現活動を大きく二つに分けると絵画や彫塑のように目的となるものを表現するのではなく,純粋に自己の表したいものを造形・表
現する分野と,ある目的を持っていて,それに適応させるデザインや工芸などの分野とに分けられます。前者を心象表現といい,後者を適応
表現といいます。
寝殿造 平安時代の住宅様式のひとつ。南に神殿を配置し,必要に応じて左右に対の家を建てて,渡り廊下でつながっている。
心棒 彫塑の塑像制作の際に作品の中心となる,芯の部分のこと。木材や針金でつくられる。心棒の周りはシュロ縄で縛り,粘土がつきやすく
する。
シンメトリー 左右や上下など,ある部分を基準として対称となる形態のこと。



> す <

水煙 奈良時代の寺院にみられる。防火の象徴としてつくられる。屋根の上にあるものとしては鯱(しゃちほこ)が有名ですが,あれも屋根を
水面(波)に見立てて,防火の願いを込めたものです。
水彩絵の具 顔料35%,アラビアゴム5%,グリセリン20%,水20%を練り合わせて作られています。この中には多少の防腐剤が混ぜら
れており,カビがはえるのを防いでいます。




水墨画 鎌倉時代に禅宗と共に,中国から日本に渡る。宋,元の時代につくられた水墨画は室町時代の絵画に大きな影響を与える。
須恵器(すえき) 飛鳥時代から鎌倉時代にかけてつくられていた焼き物の種類。ろくろで形を整えて素焼きをする。
スキージー 版画の道具で平たくて幅の広いへら。インクを版の上で押し出し,延ばすために使用する。ゴムやポリウレタン樹脂のような弾力
性のある素材によってつくられている。
数寄屋(すきや)造 江戸時代の住宅建築様式のひとつ。桂離宮や修学院離宮が有名。
スクラッチ クレヨンなどで下地に色を付けて最後に上から黒のクレヨンで重ね塗りをする。その後くぎの頭などでひっかいて下地の色を使っ
て絵を描く表現方法。厚紙の表面をひっかいたりする技法もある。


スタンピング 版(印)になるものを用意し,それを画面に押してつくる表現技法。


ステンシル 薄い金属板や紙を思い通りの形に切り抜き,その部分にインクなどを刷り込む版画の技法。染色などでも使われる。
ステンドグラス 色ガラスを鉛の棒によって固定し,絵模様を作り出したもの。ゴシック建築の窓に盛んに用いられた。

砂袋 金属工芸に用いられる,板金打ち出しの時に下に敷くもの。
スパッタリング やや水を多めにして溶いた絵の具を金網と歯ブラシを使って霧状にして紙に描く技法。型紙を用いた表現やぼかしの効果が利
用できる。機械で製作する場合はエアーブラシという道具がある。


スペーシング レタリングを行う際に,「し」や「く」の様な文字幅の狭いものや,「い」などの文字幅の広いものの間隔をそれぞれの文字幅
にあわせて文字の隙間をとって配置することで,文字の種類によって間延びした感じを防ぐ作業のことです。

スペースデザイン 環境デザインとも言います。室内のインテリアデザインに始まり,建築物,公園などの広い空間をデザインする場合にも使
われることばです。
素焼き 粘土で形を形成した後,完全に乾燥させてから700度前後で焼き上げること。釉薬をかける場合は必ずこれを行った後に本焼きをす
る。テラコッタは素焼きで制作する。



> せ <

青磁器 緑青色の施釉を施した陶器,または磁器。
清色 純色に白,または黒を混ぜたときの名称。白は明清色,黒は暗清色と呼ぶ。灰色を混ぜたときは濁色という。
石版画 平版の一種で,リトグラフとも言われる。

瀬戸焼 日本六古窯のひとつで,愛知県瀬戸市に古くから産する磁土を用いてつくられる陶磁器。「せともの」といわれるように,一般に広く
伝わっている。
施釉(せゆ) 焼き物をつくる際に,まず素焼きをする。その作品の表面に釉薬をかける作業のこと。この後乾燥させ,それぞれの釉薬に適し
た温度で焼成する。




> そ <

象嵌(ぞうがん) 金属や磁器・木材などの工芸品において,同質の材料または他の材料を使って表面に模様や形を嵌入する手法。

塑像(そぞう) 彫ってつくる彫像に対して,粘土や石膏など,可塑性のある素材を使ってつくる像のこと。
染め付け 磁器などに絵つけをする際,呉須(ごす)<塩化コバルト>を使って青い模様や絵を書き入れることを指す。


> た <

濁色(だくしょく) 純色に灰色を混ぜてつくった色の名称。灰色の明度差(明るい灰色から暗い灰色まで様々な段階のもの)や混ぜる割合(
10%や70%といった分量)によって彩度が変わる。
ダダイズム ダダというのは赤ちゃんが「あーあー(ダーダー)」と発する言葉からきています。この運動は,過去の芸術を否定して新しい価
値の創出を試みました。騒々しい音楽やナンセンスな詩などもつくられました。アメリカではデュシャンが日常使われているものに題名をつ
けて別の意味を持たせます。「レディ・メイド」と呼んで展示しますが,それは先入観を否定し,再発見を促すものでした。


たたきぼかし 絵の具をたんぽや穂先を切った筆などにつけて,たたきつけながら霧を吹き付けたような効果を出す技法。
たたら板 粘土を板状にしたものを「たたら」と呼びます。この板状の粘土を作るために使われる板がたたら板と呼ばれます。まず,粘土の左
右に同じ厚みだけ板を積み上げます。その板に針金を当てて同じ厚さの粘土板を制作します。板づくりの作品のために使われます。

タッチ 絵の具を使用する際,筆をどのように活用するかで絵の雰囲気が変わる。荒々しく塗りつけたり,繊細に動かして細密描写をしたりす
る際に表れる筆触のこと。個性や心情の表現によって様々な方法が採られる。ゴッホはタッチが強いので有名。
タピストリー 手織の壁掛けで室内装飾に用いられる。様々な技法を用いて織られる。シンプルなものから豪華で複雑な図柄までさまざま。
タブロー フランス語。エチュード(習作)やデッサンに対して作品として完成された絵画を指す。
濃絵(だみえ) 桃山時代になると,室町時代から続いていた水墨画に対して,岩絵の具を使い豪華な絵が描かれた。特に障壁画でその才能を
発揮した画家が数多く誕生した。当時,水墨画に対してこう呼ばれた。

淡彩画 鉛筆や墨などで線がきした作品に,水彩絵の具を用いて薄くあっさりと塗ったもの。重色やにじみの効果を利用する。


> ち <

地山 人物彫刻など,たっている足下の地面に当たる部分のこと。この部分も作品の一部であり,その大きさや形,厚みなどは作品全体のイメ
ージを考えてつくられている。

抽象絵画、具象絵画 抽象絵画=抽出絵画。モチーフの或る要素に注目し、その要素だけを抽出した絵画。上手く行けば異様なリアリティーの
ある絵となるが、成功例は極めて少ない。抽出する要素数を多くしたものが具象絵画である










抽象主義 20世紀に生まれた,写実的ではない芸術を表します。実物をありのままに表現せずに,線や色,形の組み合わせによって表現して
います。

彫刻刀 木彫作品を制作するときに使う刃物です。印刀(切り出し),三角刀,平刀,丸刀などがあり,印刀には右利き用と左利き用とがあり
ます。持ち方の基本を学んで作業をしないと,指を突くなどのけがをしますので注意が必要です。


頂相(ちんそう) 禅僧の肖像画のことです。鎌倉時代以降に数多く描かれました。
沈金 漆工芸の技法の一つです。漆面に針で模様を彫り,そこに金箔を置いて綿で押し込みます。そうすると金色の線ができあがります。室町
時代以来行われてきた技法で,石川県の輪島塗が有名です。


> つ <

つくりえ 平安時代に描かれた,岩絵の具を用いた濃彩画。源氏物語絵巻など。



> て <

デカルコマニー 紙を2つに折り,その間に絵の具をつけて押しつけたりこすったりした後で開くと,絵の具が広がったり混ざり合って意図し
ない形や色調が生まれる。これをもとに発想したり(心理学テストにも用いられます),作品を製作したりします。


テクスチュア 素材の表面のこと。ざらざら,つるつるといった地肌の質感を指す。
鉄線描法 奈良時代前期に描かれた技法。ピアノ線のように強い筆感に特徴がある。
デッサン じっくりと対象を見つめ,濃淡や質感を正確に面で表す。
ディテール 全体に対して細部のことを指す。

手びねり 粘土をひも状にしてつくったり,粘土の塊を指で押し広げながらつくったりする。ろくろや型を使ってつくる方法に対して自然な味
わいのある作品に仕上がる。

デフォルメ デフォルメーション。実際の形から必要な要素を抽出し,強調して表現する方法。
ディペーズマン あり得ないものが,あり得ない場所に存在するという不思議な空間を意識して製作し,奇異な雰囲気を作り出すこと。シュー
ルレアリズムの技法で,転置とも呼ばれる。
テラコッタ 焼き物の一種で,中をくりぬき空洞にしてある,素焼きのものを指す。古代ギリシャの時代からつくられる。本来は焼いた土とい
う意味。
手ろくろ 手びねりで陶芸作品を作るときの道具です。この台を回しながら形を整えます。また,絵付けや施釉,高台を削るときにも使います

点描画 線や面を使わず,筆に付けた色を点状に並べて描く技法。


テンペラ 油絵の具の登場まで,ヨーロッパの絵画材料だった。顔料を黄身やいちぢくの汁などで溶いて描く。白身は金箔などを張りつける接
着剤として用いた。乾燥が早くかさかさした表面になるため,樹脂やワニスを塗って表面を保護した。


> と <

陶器 粘土をよく練って形成し,焼成して作り出します。縄文時代では野焼きと言って,平地で薪などを積み上げて焼きましたが,時代が進む
と窯をつくって効率よく焼くことを考え出します。素焼きと本焼きがあり,本焼きでは1250度ぐらいまで窯の温度を上げます。

透視図法 線遠近法で奥行きや立体感を表す場合に使われる図法です。消失点と目の高さ(水平線)が作図の基本になります。だんだんと遠く
なるに従って物体を小さく描くことができるために見た感じの遠近感を表現することができます。1点透視図法,2点透視図法,3点透視図
法がありますが,中学生では2点透視図法までを練習することが多いようです。
動勢 ムーブメントともいう。作品全体における動きを指す。

ドリス様式 古代ギリシャの時代で,ドーリス人の勢力が強かった頃に作られた建築様式です。ギリシャ建築の中で最も簡素で,力強い表現が
特徴です。
トーン 調子,という意味です。画面全体の色の感じを指したり,明暗を表現する際に使われます。
土偶 先史時代に作られた土の人形です。呪術的な意味を持っているといわれています。
土佐派
凸版 木版画のように彫刻刀で彫り,凸部にインクを付けてばれんで刷りとる方法や,厚紙を切り,台詞に張り付けてつくる方法など様々な技
法がある。

どべ 粘土に水を加え,柔らかく泥状にしたものをいいます。粘土と粘土を接着するときに使います。この「どべ」は,接着する粘土と同じ材
質のもので作ります。
ドライポイント 塩ビ板などにニードルを使ってひっかき傷をつくり,凹部にインクをつけてエッチングプレス機で刷るとる。エッチングと違
い薬品を使わないので手軽に製作できる。

ドリッピング 水分の多い絵の具やインクを紙の上にたらし,口やストローで強く吹いたり紙を傾けたりしてできる偶然できる形を利用する技
法。


鳥の子 きめが細かく地肌の美しい紙。よく学校で掲示物を作るときに使う大きな紙がこれですね。

トレース(転写) 原図版の上に薄い紙をのせて写し取ることです。トレーシングペーパーという半透明の紙に写し取ることが多いですが,ラ
イトボックスの上に原図版を置き,下から光を当ててケント紙などの厚手の紙に写し取ることもできます。



捺染(なつせん) 染色法の一つです。いろんな色や色糊を布などの材料に押しつけ,模様を染め出す方法のことです。型染め付けともいいま
す。更紗や友禅などに用いられます。




> に <

ニードル 針という意味。エッチングやドライポイントに用いられる版に傷を付けるための道具。丸ニードルや角ニードル,複数の針を束ねた
ものなどがある。




錦絵 多版多色木版画の浮世絵のこと。色の数が多く,錦のような美しさがあると言う意味でこう呼んだ。

似絵(にせえ) 鎌倉時代独特の肖像画の技法。












野焼き 縄文時代は窯をつくるという技術がまだなく,薪などを積み上げて焼いていた。素朴な味わいがある作品ができる。






> は <

バーニッシャー エッチングの用具で,切ったプレートの縁を平らにするために使います。
白描法 墨の線だけで描く技法です。唐の時代に考えられました。鳥獣戯画などがこの技法によって描かれています。
はく離剤 離型剤ともいわれます。彫塑作品を制作する際に,型どりをした雌型にこのはく離剤を塗っておき,緒方を製作します。型をはずす
ときに,取り除きやすくします。石膏の場合はカリ石鹸,セメントの場合は灯油などを使います。石膏の場合,牛乳や台所用洗剤で代用する
こともできます。
パステル ガム樹脂の量によって堅さはまちまちですが,柔らかいものほど彩度は鮮やかです。木炭同様に柔らかな分もろさがありますが,色
の伸びが良く,淡く柔らかい陰影描写に適しています。色数がかなりあります(200色以上のセットなど)がその理由は,混色に向いてい
ないのと,鮮やかさを失わないためです。


バチック クレヨンやろうそくなど水をはじく素材で絵を描き,その後水気の大家の具で彩色する技法。



破墨 日本画の技法の一つです。はじめに薄墨で全体の調子を描いておき,乾かないうちに濃い墨を重ねます。濃淡の浸潤によって,その色合
いの効果を表現します。
バランス 均衡,釣り合いのことです。形や色の釣り合いをとり,安定感を出します。また,意識的にバランスを崩して不安定感を送出するこ
ともできます。見た目に整っている場合はたいていバランスのよい作品ですね。見ていて落ち着かない作品は,どこかにアンバランスな部分
があるものです。
バルビゾン派 19世紀中頃,パリ郊外に集まった画家の集団を指します。それまでは風景画であっても室内で描かれることがほとんどでした
。実際の自然の中にキャンバスを持ち出して描くことを始めます。そうして自然主義絵画を興します。
バロック 16世紀から18世紀にかけて盛んに行われた美術様式です。古典様式よりも動きがあって装飾性が強く,感覚的です。
版画 版画には大きく4種類があります。芋版や木版などで一度は作ったことのある版画を凸版と呼びます。エッチングプレス機を使って刷り
とる作業を行う版画を凹版と呼びます。穴のあいた部分からインクを通過させて下の紙に刷りとる版画は孔版と呼びます。金属や石版に直接
描いて刷りとる版画を平版と呼びます。それぞれに用途や表現方法に特徴があります。




> ひ <


ビザンチン美術 トルコの首都はその昔ビザンティウムと呼ばれていました。この都市を中心にして東ローマ帝国が栄えます。この頃に盛んに
行われていた美術様式をこう呼びます。初期キリスト教美術とも呼ばれ,建築,彫刻,工芸に独特の様式が誕生します。モザイク壁画はこの
頃に生まれました。
ビジュアルデザイン 視覚的な効果によって相手に伝えることを目的としたデザインです。グラフィックデザイン,パッケージデザイン,ディ
スプレイデザインがこれにあてはまります。
ひもづくり 陶芸の製作技法のひとつ。板づくりやろくろでの製作と違い,粘土をひも状に延ばしておき。それを自分が思うように巻きつけな
がら壺などを製作する。つなぎ目に空気が入らないように注意すること。


ビュラン 西洋の版画に用いる彫刻刀。
表現主義 ノルウェーのムンクなどは陰鬱(いんうつ)で荒々しい感情を表現しようとしました。現実を再現するような表現にこだわらずに,
精神的なものを描くことを求めていきます。そうして画家個人の感受性を素直に表現した,感情表現の作品が作られていきました。
20世紀のはじめにドイツで生まれた,激しい色彩表現と誇張された形態による新しい絵画の試み。作者の内面世界を色や線で画面に表現しよ
うとした抽象絵画。代表的な作家は,カンディンスキーやクレー。

紅型(びんがた) 沖縄地方の特産で,型紙を使った染め物の技法です。多彩な色模様を木綿などに染めだします。


> ふ <


フォービズム 1905年の秋,パリのサロンに出品された絵を見て「まるで野獣だ」と批評されたことに端を発しています。その中心的な作
家がマティスです。彼は色彩を見たままに表現したのでは感情が伝わらないと考えました。そこでより鮮やかな原色を使ったり,色の対比に
よって感動を伝えようとしました。そして何を描くかといった主題と同じように,色の使い方が重要視されるようになってきます。



フォトモンタージュ 合成写真。写真を組み合わせて,あたかもその世界があるように錯覚させる技法。
吹抜屋台 源氏物語絵巻で使われている大和絵の技法。

腐食液 凹版を制作する際に用いられる,版を腐食させる薬品。これによって版の凹部分をはっきりさせ,インクが詰まりやすくする。
プリミティヴィズム 20世紀にはいるまで重要視されることのなかった,ヨーロッパの民衆芸術をはじめ,アフリカなどに見られる古くから
伝わる素朴な民芸品などに目を向け,模倣することをこう表現しました。ここには先史時代の美術品(呪術具)も含まれます。
フレスコ画 古代ギリシャから行われていた壁画の制作方法。半乾きの壁土の上に絵の具で描いたもの。
プロダクトデザイン 実用目的を持つ製品のデザインのことです。ハンドクラフトデザインとインダストリアルデザインがこれに当てはまりま
す。
フロッタージュ こすりだしとも呼ばれる。紙を凹凸のある金属や木片などに当て,上から鉛筆などをこすりつけてその模様を写し取る技法.



ブロッキング法 シルクスクリーンの技法の一つです。スクリーンに直接クレヨンなどで絵を描き,その上から全体ににかわ液かカゼインを塗
ります。よく乾いてから灯油で洗うとクレヨンの部分がとれるので版画出来上がります。
プロポーション 比例や比率,全体と部分の数量的割合などのことです。黄金比などもこれに当てはまります。
文人画 江戸時代に中国の南宋画の影響を受けて,文人たちの間にはやった絵画です。流儀にこだわらず,余技として描かれた作品をこう呼び
ました。
粉本 日本画の作家が使うスケッチブックのようなものです。これに昔の絵を模写したり,写生をしたりします。


> へ <

平版 版画の技法のひとつ。版面に凹凸をつくらず,水と油が反発する性質を利用して平らな面にインクのつく面とつかない面をつくり,刷り
とる方法。この版はその特性上,大量生産できない。
ペーパースカルプチャー 紙の彫刻といわれます。厚紙に切り込みを入れて組み合わせたり,折り曲げて立体的な造形物を作成します。手軽に
作れるように,専門の本や切取線の入った厚紙などが市販されています。
紅柄(べんがら) 「鉄絵」と呼ばれる茶褐色の下絵付けをするときに使われるもので,塩化第二鉄の粉末です。これ以外にも呉須(ごす)と
呼ばれる天然コバルトを多く含む鉱物で描かれる青色の「染付け」と呼ばれる絵の付け方があります。
ペンデュラム 振り子の振幅運動を利用した技法。穴をあけた空き缶などに塗料を入れ,ひもでぶら下げて振り子のようにする。缶の小さな穴
から流れ出る塗料は空き缶の揺れる方向に勢いよく飛び散り,偶然できる形を利用する。


> ほ <

補色 色相環上で相対する位置にある色同士の組み合わせ。お互いに引き立て合い,混ぜると無彩色に近くなるのが特徴。コントラストの表現
に,この組み合わせが用いられる。
ポスターカラー 顔料と水,アラビアゴムを混合してつくられる水彩絵の具。顔料の粒子が大きく,均一な塗り上がりが美しい。





マーブリング モダンテクニックの技法のひとつ。

蒔絵(まきえ) 漆で絵を描き,金銀の粉を蒔きつけたもの。漆芸の器などで装飾表現のために用いられる技法。
マスキング 筆で着色する場合,境目をきれいに描くには限界があります。そこで紙テープやシートなどを使ってあらかじめ色のつけない部分
を保護しておき,塗った後にはがします。スパッタリングをする際に型紙でブロックする方法もマスキングと呼ばれます。
マチェール 絵画の表面。絵の具の塗り方や筆の使い方によって表現される,材質的な効果のことを指す。
曼陀羅(曼茶羅) 密教の教義を図式化したもの。平安,鎌倉時代に数多く製作された。


> み <

密陀絵 密陀僧(一酸化鉛と油と絵の具を混ぜてつくられるペンキ状のもの)を用いて描かれた絵のこと。法隆寺の玉虫厨子に描かれた絵が有
名。
密教美術 弘法大師以降盛んになった,密教の教義や,曼陀羅を描いたものや,神秘的な彫刻像などの総称。密教は仏教とバラモン教などが融
合して生まれた宗教といわれる。
ミニテュアール 細密画のこと。
未来派 キュビスムの影響を受け,イタリアの青年芸術家たちの間からはじまる。急速に進歩する社会の中でダイナミックな表現活動を展開し
,演劇や映画にまでも影響を与えた。伝統的な表現に反抗するかのように,芸術の中にスピード感と騒乱を含めようとし,さまざまな芸術の
境界を取り除き,いろいろな感覚をめまぐるしく働かせることを目指した。
明朝体 中国の明の時代に筆で書いた形を様式化した字体です。横棒と縦棒の太さに違いがあり,横1に対して縦3.5から4ぐらいの割合で
描くとメリハリのあるきれいな書体がかけます。また,「うろこ」とよばれる部分にも特徴があります。


> む <

ムーブメント 構成美の要素のひとつ。動勢とも呼ばれる。形や図形の組み合わせから大きな動きが感じられる構成。



> め <

明度 あかるさのこと。色の3要素の一つで,この要素は無彩色にも有彩色にも含まれる。白っぽいものは明度が高く,黒っぽいものは明度が
低いと表現する。
雌型 粘土などでつくった原型に石膏などで型どりをしたもの。彫塑や金属工芸,陶芸など,様々な分野で同じ形のものを生産する際に利用さ
れている。原型やそれと同じ形のものを雄型という。
メゾチント 銅版全体に均一な細かな傷をつけ,そこから小さな傷の粗密を作り出して濃淡を表現する技法。
面相筆 水彩絵の具で彩色する際に使われる細い筆。広い場所をぬる際には,平筆や彩色筆が用いられる。
目止め 木材の作品で表面を塗装する際には,木目による凹凸を隠すためにとの粉を塗る。その作業を指す。


> も <

木炭 柳・ぶどう・桑などの天然の材料を乾燥させて蒸し焼きにし,炭化させたものです。木炭デッサンに使われます。材質や焼き具合によっ
て微妙に色合いや質感の表現に影響します。消し具として食パンが一般的に使われます。
木炭紙 木炭デッサン用に作られた紙です。表面は木炭の粉がつきやすくざらざらしていています。表裏を間違えやすいのですかしの文字を確
認したり凹凸を確認してから使うようにしなくてはいけません。
裳階(もこし) 建物の周囲につけられたひさしのことを指します。有名なところでは法隆寺の金堂や五重塔,薬師寺東塔についています。
モザイク 色ガラスや大理石などの石片を張り合わせて,絵や模様を作る技法のことです。キリスト教初期の教会は,この技法を用いた豪華な
モザイク壁画によって飾られていました。残念ながらこの当時の教会装飾はほとんど現存していません。
モダンテクニック 新しい表現技法の総称。材料や可能性の追求,発見のために作り出されていきました。当時の新しい表現に使われています
。デカルコマニー,シンメトリー,アクセント,グラデーション,リズム,マーブリングなどがこれです。
モチーフ 表現のための動機となる素材。
没骨法(もっこつほう) 輪郭線を用いずに,面で直接表現する。墨や絵の具で濃淡を描く方法。
モデリング 可塑性のある素材(粘土や石こうなど)を用いて作品をつくる作業のこと。カービング(彫ったり削ったりする作業)に対する用
語。
モデルメイキング 図面では表しにくい立体のものを粘土や石膏などを用いて作ることです。スタディモデル,ダミーモデル,プロトタイプモ
デルがあります。




モビール 動く彫刻といわれる。絶妙なバランス感覚で設計され,風や温度で自動的に動いたり,機械仕掛けになっていたりする抽象的な立体
構成作品。カルダーが考案した。
モノタイプ 一枚だけしか刷れない版画のことです。ガラス板などの上に絵を描き,紙に刷りとります。






> や <

焼き入れ・焼きなまし 刃物などの金属を赤熱させた後,水に入れて急速に冷やすと金属の硬度を高くすることができます。これを焼き入れと
いいます。逆にゆっくり冷やすと高度が低くなります。これは焼きなましをいいます。金属工芸(鍛金)で作品を制作する際には,この方法
で柔らかくしてから成形していきます。
大和絵 平安時代から中国伝来の絵(唐絵)に対して,日本の風物を日本的な技法で描かれた絵のことを倭(やまと)絵と呼びました。これが
後に大和(やまと)絵と呼ばれるようになっていきます。
弥生式土器 縄文時代の次の時代に作られた土器です。製作には専門の職人がいたらしく,形も洗練されてきました。器の厚みは均一で,焼成
温度も上がっており,そこには技術が感じられます。


> ゆ <

有彩色 無彩色(白,黒,灰)に対して,何らかの色味を帯びている色は全て有彩色という。有彩色には色の3要素(明度,色相,彩度)があ
り,これらの微妙な変化によって無数の色彩が作り出される。

釉薬(ゆうやく) 焼き物の表面を飾るガラス質のものです。成分によって発色が変わります。透明であったり,不透明であったり,釜の中で
変化する変釉と呼ばれるものもあります。この釉薬の調合は陶芸家の腕の見せ所です。自分の気に入った色をつくるために何度も研究を重ね
ています。
釉(ゆ)がけ 焼き物で,素焼きが終わった後に釉薬をかける作業のこと。素焼きの状態は水分を非常に吸い込みやすいため,かけ方にはコツ
が必要。ひしゃくでかけるやり方と,釉薬の中につけるやり方がある。



> よ <

俑(よう) 土で作られた人形のことです。古代中国で数多く製作され,王などの墓に納められました。
陽刻 印の場合,文字の部分が飛び出している彫り方を言う。彫刻なら浮き彫り(レリーフ)のこと。
寄木造 いくつかの木を組み合わせて一つの彫刻を作る技法です。藤原時代に仏師の定朝によって創案されたといわれています。
寄棟造 建築様式の一つです。四つの隅棟をもつ屋根の形式を指します。


> ら <

来迎図 平安中期に浄土信仰によって生まれた仏画です。阿弥陀如来が西方浄土から衆生済度のために人間界に下ってくるという仏教思想を絵
に表したものです。
楽焼き 800℃ぐらいの低い温度で焼成する焼き物です。桃山時代から始まり,茶器が多く残されています。
ラフスケッチ アイデアを練る際に思いついたことを大ざっぱに紙に描きとめたスケッチのこと。


> り <


リズム 構成美の要素のひとつ。形や色が規則的に変化(強弱や大小,明暗など)し,それが繰り返されることでそこに美しさが感じられる構
成。


リトグラフ 平らな石版の面にインクのつく部分とつかない部分を作って刷る版画で,平版の一種です。水と油の反発する原理を利用していま
す。アルミニウム板や亜鉛版なども使われます。
量感 容積や重量の感じのことです。絵や彫刻では重視されます。
臨画 手本を見て,それを模写した絵のことです。明治初期の美術教育ではこれを盛んに行いました。
淋派 江戸時代の尾形光琳の様式を継承した人たちの絵を総称した言葉です。


> る <

類似色 色相で似ているもの同士や,色相環上においてある色を中心にその近くにある色の呼び名です。長所としてまとまりのある落ち着いて
感じを作ることができますが,短所としてメリハリに欠けた感じになるために,明度や彩度を変えるなどの工夫をするとよいでしょう。


> れ <

レイアウト 文字や挿し絵,写真などの配置のこと。ポスター制作などでは,見やすく印象的な方法を考える必要がある。
レタリング 代表的な字体は明朝体とゴシック体です。明朝体は明の時代に筆で書いた文字を様式化したものです。ゴシック体は刷毛で描いた
文字を様式化したものです。それぞれに技法や用途に特徴があります。


レリーフ 浮き彫りのこと。エジプトの彫刻は沈め彫りでつくられているのに対して,ギリシャの彫刻は絵の部分が膨らみを持つようにつくら
れている。


レンダリング 完成予想図。商品などで,完成する前に想像して描いたもの。


> ろ <


ロゼッタストーン 1799年にナポレオンがエジプト遠征を行った際に発見したものです。ヒエログリフと呼ばれる象形文字に並んで,デモ
ティックというエジプト文字とギリシャ文字が並んでいました。これは紀元前196年にプトレマイオス5世に捧げられた文章でしたが,3
つの言葉で書き記されていたために,これによってヒエログリフの解読に成功しました。23年の後,解読を成功させたのはフランスの言語
学者,シャンポリオンです。大英博物館に保存されています。

ロココ 優美で官能的な絵画様式。
ロマネスク様式 「ローマ風」という意味です。この頃に封建制度が確立していきます。この時代の教会建築は一般に重厚な石壁と暗い内部空
間が特徴です。壁や柱が石で作られたために非常に重たくなり,窓を大きく開けることができませんでした。逆に薄暗くてたいまつを炊かな
ければならない空間が,祈りを捧げる場所にふさわしい雰囲気を作り出したのです。


> わ <



> を・ん <


ナビ
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