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常設展と企画展
一言で美術館の展示といっても、常設展と企画展では、展示の意図や展示物がやや異なります。
まず、常設展というのは、その館の収蔵品を常に展示しているものです。展示物の種類によっては、例えば日光の影響を受けやすく、保存管理のため、長期で公開できない作品は時期を区切って展示しています。常設展といっても、美術館によっては、一定のテーマを決めて、それに沿った展示をしていることが多いです。
一方、企画展は、その美術館内には無い作品も含め、何かしらテーマに沿って期間限定で作品を展示しているものです。思いがけず普段は見られない貴重な作品が見られることも多々あります。
さて、この企画展ですが、目玉商品のように、1点から数点の目玉作品を展示することに決め、大々的に宣伝することがよくあります。展示を見る前から、その目玉作品だけは何かと目にするので、どうしてもその作品を見よう、という思いに駆られてしまいがち。
でもそれだけでは、美術館での鑑賞はもったいないです!
特に企画展の場合は、担当学芸員の視点が大きく左右して展示されています。なぜこの作品をここに展示するのか、これと隣の作品を何故ここに並べたのか、3~4章あれば、全体の中で一つ一つの作品はどのような意味を持つのか・・・といったことが、かなり綿密に考えられて、計画的に展示されているものです。
したがって美術館で展覧会を鑑賞する時は、作品一つ一つに気を取られるだけでなく、全体像の中での作品の位置づけについて捉えてみると、意外な発見があるかもしれません。
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