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エミール・クラウス

画家解説

エミール・クラウス(1849年-1924年)はベルギー出身の画家です。

ベルギー・フランダース(フランドル)地方のリス川(=レイエ川)沿いのアトリエで制作活動を行い、写実的な作品を描いていましたが、1889年~1992年にかけての冬にパリに滞在し、フランス印象派から多大な影響を受けます。

それ以降彼の作品は、印象派・分割主義の技法を加えたものとなり、その光の瑞々しい表現は「リュミニスム(光輝主義)」と呼ばれました。

農村風景やそこに暮らす人々を好んで描いており、その内面も描き出すような、愛に溢れた目線がそれらの作品から感じられます。

また「生命と光(ヴィ・エ・リュミエール)」を言う芸術グループを結成し、「太陽の画家」「リス川の画家」として知られるようになりました。

リス川の夕陽

エミール・クラウス
《リス川の夕陽》1911年
個人蔵/協力パトリック・ドゥロン画廊

エミール・クラウスの「リス川の夕陽」は、自身のアトリエから見える夕日が木立に沈む様子を描いた作品です。
夕日の上には青と白の淡い色で空が描かれていて、暮れゆく時間の流れを感じさせます。
1980年代からサロンに参加していたエミール・クラウスは、リス川(フランドル読みでレイエ川)沿いにアトリエを設け、故郷であるヘント周辺の自然や田園風景と、そこで働く人々の情景を題材とした絵画を描きました。その作品は、印象派そのものと言ってもよく、20世紀に入ってから描かれた今回の展覧会で展示されている作品も、誰が観ても美しく見える解り易い作品となっています。樹木の向こう側から差し込む夕陽の眩い光が、川の水面に反射して画面中央を朱色に染め、そこから拡散減衰する光が徐々に色を変えてゆく様は、荘厳な美を湛えています。


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